健診のご案内

深谷市・大里郡医師会のページへ

HOME  >  健診のご案内  >  心電図所見名解説

▶ 心電図所見名解説
▶ 眼底所見名解説
▶ 胸部X線検査・胃部X線検査所見名解説
▶ 腹部超音波検査所見名解説
▶ 乳房超音波検査・マンモグラフィ検査所見名解説

心電図 所見名解説

RSR’パターン

心房からの電気刺激は心室に入ると右室は右脚、左室は左脚前枝・後枝に分かれ合計3本の
心筋内伝導ルートを伝わり左右心室の筋肉を収縮させます。
RSR’パターンは右脚の電気の流れがわずかに障害されている状態です。
いわゆる異常心電図波形として指摘されますが、正常者でも認めることがあり問題ありません。


R波増高不良

心電図波形のR波(上向きの幅の狭い波)は胸の左側の電極で記録した方が、胸の真ん中付近の電極で記録したものよりも大きくなるのが普通です。
R波増高不良は左側で記録したR波と、真ん中付近で記録したR波がほとんど変わらない状態です。
心筋梗塞や肺気腫、心筋症などでみられますが、痩せ型の体型の方にもよく現れます。



異常Q波

心電図波形のQ・R・S波は上向きのR波と下向きのQ波、S波で成り立っています。
異常Q波はQ波が著しく大きくなっている状態です。
心筋梗塞や心筋症など強い心筋障害によって見られます。

Ⅰ度房室ブロック

房室ブロックは心房から心室への電気の流れ(刺激伝導)に障害がある状態です。
Ⅰ度房室ブロックは何らかの原因で心房-心室間の電気の流れに時間がかかっているが
心室へ刺激は伝わっている状態です。
ブロックの程度が悪化しなければ問題ありません。しかし新しく生じた場合や極端な伝導時間の延長そして自覚症状がある場合などには注意が必要です。

陰性T波

心電図波形のT波は収縮した心臓が元に戻るときにできる波です。
陰性T波とは通常は山型をしているT波が谷のようにへこんだ状態です。
心筋梗塞、高血圧や心筋症による心肥大、脳内出血などでみられます。

右胸心

通常左側にある心臓が右側にあり、左右対称に入れ替わっている状態です。
左胸部につける導子を右胸部に付け替えて心電図記録を行います。

右房性P波

肺高血圧症や肺気腫、心房中隔欠損などで右心房に負担がかかり右心房が拡大して心電図のP波の高さが高く尖った形に変化した状態です。

▲ページトップへ

ST上昇

心電図波形のうちで、ST部分が通常より上がった状態です。
心筋梗塞、心筋炎、ブルガダ症候群などでみられますが、心臓に病気がなくても現れることがあります。

ST-T低下

心電図波形のうちで、ST部が通常より下がった状態です。
心臓の筋肉の血液の流れが悪い場合(心筋虚血)や心臓の筋肉が厚くなった状態(心肥大)などで起こります。
病気でなくても起きることがあり、ST部分の傾きで、上行傾斜型、U字型、水平型、下降傾斜型等に分かれます。

(冠状静脈)洞調律

心臓のリズムを作る場所が洞結節以外の心房(冠静脈洞や左心房など)にある状態です。
健康な人でもみられることがあります。

完全右脚ブロック

右脚の電気の流れがブロックされた状態です。
基礎疾患のない右脚ブロックは問題のない事が多く、電気の流れは左脚を通って伝わりますので右心の収縮には影響はありません。


完全左脚ブロック

左室内の左脚前枝・後枝2本ともにブロックされた状態です。
広範な心筋障害を有している場合があります。
新たに出現し胸痛を伴う場合、心エコー検査や心臓CT検査などの専門的な検査や原因疾患の治療が必要な場合があります。


左脚前枝ブロック 、左脚後枝ブロック

左脚の伝導路のうち前枝または後枝がブロックされた状態です。
左脚ブロックはその背景に心疾患を有する事が多く注意が必要です。
狭心症、高血圧性心疾患、心筋炎などの心筋障害、弁膜症などが原因になることがあります。

完全房室ブロック

心房-心室間の電気の流れが完全に途絶えている状態です。
心房と心室が独立して電気刺激が発生しています。
まれに無症状の場合もありますが、失神や突然死の原因になることがあります。

▲ページトップへ

QT間隔延長

QT間隔(時間)はQRS波の最初からT波の終末部までの時間で、心拍数や自律神経、電解質(低カリウム、低カルシウム)、薬物(抗不整脈薬・抗精神薬・抗生物質の一部)などにより変化します。
QT時間が延長する状態では心筋各部で興奮持続時間のばらつきが生じ危険な不整脈が起こりやすくなります。


境界域Q波

やや大きめのQ波で、異常Q波よりも程度の軽い状態です。
なお異常Q波に関しては、該当項目を参照して下さい。

高電位

左胸の電極で記録した心電図波形の上向きのR波が通常より高い場合や中央で記録した心電図波形の下向きのS波が深い状態です。
左心室由来の電位が高く記録されているという意味で左室肥大などで現れますが、ST低下を伴わない場合は多くの場合が問題ありません。

左房性P波

僧帽弁膜疾患(僧帽弁狭窄症や僧帽弁閉鎖不全症など)で左心房に負担がかかり、左心房が拡大して心電図のP波が幅広く二峰性に変化した状態です。


軸偏位

心臓の筋肉が働く時に流れる電流の方向のことを平均電気軸といいます。
右軸編位はこの軸が通常より右側(時計回転方向)に傾いている状態で、左軸編位は左側(反時計回転方向)に傾いている状態です。軸偏位だけでは病気ではなく、特に問題ありません。心電図上で傾きが判定できない「不定軸」は正常と考えられています

▲ページトップへ

右室肥大・左室肥大

心室壁の筋肉が肥大した状態です。心室筋が肥大すると左右心室の起電力のバランスが乱れ、肥大した心室側に特徴的な心電図変化があらわれます。心肥大は心電図だけでは診断の確立は得られず、胸部X線、心臓超音波検査などの総合的判断が必要になります。

上室性期外収縮

洞結節より早く別の場所で心臓の拍動が指令される状態を期外収縮といいます。上室性期外収縮は心房や房室接合部(上室)で指令が発生した状態です。
緊張、興奮、ストレスなどで起こることもあります。


上室頻拍(発作性)

心臓の上室(心房や房室接合部)に余分な電気経路ができていて、その回路を使って伝導の空回りが急に起こる状態です。頻脈になりますが、洞性頻脈と違って突発的に起きることが多く、薬物やカテーテルアブレーションなどの治療を要することもあります。

心室細動

心室の筋肉がバラバラに興奮し心臓がけいれんしている状態です。
心臓から送り出される血液はほとんどなくなり短い時間で意識を失います。
治療が遅れると、心臓が停止してしまう危険な状態です。

心室内伝導障害

心室内の興奮伝導が遅れて、伝導時間が正常より長い状態です。

心房細動

心房内で洞結節とは異なる無秩序な電気信号が発生し、その興奮が不規則に心室に伝わる状態です。
心室へ伝わる数が多く頻脈となっている場合や心房の中に血栓ができて脳梗塞を起こす危険があるため、治療が必要です。

心房粗動

心房が1分間に240回以上で規則的に収縮する状態です。
心室へ伝わる数が多く頻脈となっている場合や心房の中に血栓ができて脳梗塞を起こす危険があるため、治療が必要です


▲ページトップへ

高いT波

心電図のT波は収縮した心臓が元に戻るときにできる波です。
高いT波は通常はなだらかな山型をしているT波の高さが通常より高く尖鋭化している状態です。
高カリウム血症(腎不全など)や心筋梗塞の発症直後、僧帽弁狭窄症などでみられます。
健常な若者でもみられることがあります。


多源性心室性期外収縮

心室期外収縮の発生源が複数あるため、異なった波形がみらる状態です。
発生源が1か所の単源性心室期外収縮より危険な不整脈です。


WPW症候群

心房-心室間の電気が伝わる正常なルート以外に副伝導ルート(ケント束)が存在するため心房心室伝導時間が短縮します。異常な伝導による頻拍発作がなく自覚症状もなければ問題ありません。
頻拍発作の回数が多く日常生活に制限が生じることや失神などの症状がみられることがあります。


低電位差

心電図のQRS波の高さ(振れ幅)が小さくなる状態です。
心筋梗塞などで心臓の収縮力が弱ったとき、体内の水分貯留や肺気腫など肺に含まれる空気が増加したとき、肥満などでみられます。


▲ページトップへ

洞除脈

心電図波形は正常ですが、心拍数が少ない状態です。
心臓に拍動を指令する部位(洞結節)の異常や甲状腺機能低下症のほか、健康な人でもスポーツをよく行っている人にみられます。


洞性不整脈

心臓の拍動のリズムは正常ですが、興奮の間隔が不整となる状態です。
健康な人でもよくみられ、吸気時に心拍数が増加し、呼気時に心拍数が減少する呼吸性不整脈の一種です。


洞頻脈

心電図波形は正常ですが、心拍数が1分間に101回以上の状態です。
発熱、心不全、甲状腺機能亢進症などのほかに、健康な人でも不安・興奮・緊張などのストレス、アルコール摂取や運動で起こしやすくなります。

洞不全症候群、洞房ブロック、洞停止

洞不全症候群は心臓に収縮を指令する洞結節の異常によって、心拍数が減少し徐脈や心停止をおこす状態です。
洞結節からの電気信号が停止する洞停止、心房に伝わらない洞房ブロックも含まれます。
めまいや失神発作を起こすことがあります。


Ⅱ度房室ブロック

心房からの刺激が心室へ伝わったり伝わらなかったりする状態です。
心房心室伝導時間が徐々に延長し心室への刺激がなくなるウェンケバッハ型はあまり問題ありませんが、症状がある場合には精密検査が必要なことがあります。
また突然、心室への伝導がなくなり心室の収縮が止まるモビッツⅡ型は心臓の病気を合併することが多く、十分な精密検査が必要です。


▲ページトップへ

PR短縮

PR時間とは心房の興奮から心室の興奮の始まりまでの時間をいいます。普通、心臓の興奮は心房から始まって、心房と心室の間にある房室結節を通り、心室に至ります。房室結節は興奮伝導に時間がかかる部位ですので、PR時間のほとんどは房室伝導時間で決まってしまいます。
つまり、PR短縮とは房室伝導時間が短い状態です。

不完全右脚ブロック

右脚の電気の流れがわずかに障害されていますが、伝導時間は正常範囲内に保たれており問題のない状態です。
いわゆる異常心電図波形として指摘されますが、RSR’パターンと同様に正常者でも認めることがあり問題ありません。


ブルガタ症候群

右胸部誘導でST上昇を伴う右脚ブロック型の波形が特徴の変化をいいます。突発性の心室頻拍や心室細動など原因不明の失神発作を起こしやすく精密検査が必要です。


平低T

心電図波形のT波は収縮した心臓が元に戻るときにできる波です。
平低T波とは通常はなだらかな山型をしているT波が平坦になった状態です。心筋梗塞や左室肥大ではST部分の異常を伴ってみられます。
健常女性や肥満でもみられることがあります。

▲ページトップへ

房室接合部調律、異所性心房調律

心臓が脈を刻むリズムの起源は心臓(右心房)上部の洞結節と呼ばれる所で発生する刺激(洞調律)がきっかけとなり、それが心房~心室へ伝わって行くことによって心筋が運動をします。 心房下部の心室に近い所(房室接合部)はしばしは洞結節と同程度の刺激を作りますので、この場合に洞結節がややのんびりとなった場面では房室接合部からのリズムで心臓が動くことになります これが房室接合部調律で、異所性心房調律とも呼ばれるものです

ペースメーカー移動

通常の調律は洞結節ですが、刺激発生の場所がほかに移動している状態です。他に異常がなければ問題ありません。

ブルガタ症候群

サドルバック型とコーブド型に分けられる。署名なST上昇を認める。コーブド型は予後が関連するとされてます。
元気だった人が突然亡くなる「ぽっくり病」のかなりの割合にブルガダ症候群の人が該当すると言われています。  
過度に不安になる必要はないと思われますが、ブルガダ型心電図を言われた場合、循環器専門の施設を受診することをお勧めします。

▲ページトップへ