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肝臓内には肝動脈、門脈、肝静脈という3種類の血管があります。
これらの太さや形に異常が見られます。
病的な異常なのかを腹部超音波検査だけで判断することはできませんので、精密検査が必要な場合があります。
血管から構成される肝臓の代表的な良性腫瘍です。
ただし、徐々に大きくなることがあるため経過観察が必要です。
肝臓に脂肪が過剰に蓄積した状態です。
糖尿病や脂質異常症などの生活習慣病と密接な関係があり、内臓脂肪型肥満や飲酒が原因であることが多いです。
脂肪肝から肝硬変・肝細胞癌へ発展することがあり、脂肪肝が見られる人は生活改善が必要です。
程度により軽度、中等度、高度脂肪肝に分けられます。
肝臓の腫瘍には良性腫瘍から悪性腫瘍まで色々な腫瘍があります。
良性か悪性かの鑑別のため、精密検査が必要な場合があります。
肝臓の悪性腫瘍には肝臓自体から発生した腫瘍(原発性腫瘍)と他の部位から転移してきた腫瘍
(転移性腫瘍)があります。
腫瘍の可能性の低い結節像(炎症後の瘢痕など)を肝臓に認めます。
肝臓にできたカルシウムの沈着のことをいい、エコーでは白く描出されます。
過去に、肝臓に負傷、結核、寄生虫、出血などが生じ、現在は治ってしまった場合が大部分を占めていますが、放置しても差し支えありません。
肝臓内の胆管(胆汁の通り道)が通常より太くなっている状態です。
その原因として、腹部超音波検査だけでは判別のつかない総胆管結石や胆管腫瘍などが疑われますので、精密検査が必要な場合があります。
肝臓内部の胆管にできた結石のことを指します。
肝内結石症は他の胆嚢結石症や総胆管結石症と異なり、治療が難しくまた治療後の再発が高率です。
肝内結石症では胆管が膨らんでいたり狭くなっていることがあります。
液体が貯留した袋状の病変です。
単発あるいは多発し通常は無症状ですが、嚢胞が大きくなると腹部膨満感、圧迫感等の自覚症状が認められることもあります。
腫瘍内部に液体を伴う腫瘍です。
多くは単発でブドウの房のように多房性の構造をとり、嚢胞の壁に腫瘍部分が存在します。
肝臓内のガス像を指します。
胆道内にガス像を呈する胆道気腫と門脈内にガス像を呈する門脈ガス血症が重要です。
前者は胆嚢、胆管、膵臓等の手術既往者にみられ、無症状の場合から胆嚢等の重篤な炎症を伴っている場合まで
幅広い臨床像を呈します。
後者は、腸管・胆道等の炎症に伴ってみられます。
肝障害が継続的に起こっている、あるいは起こっていたことが考えられます。
慢性肝障害の原因は飲酒、脂肪肝、B型肝炎、C型肝炎、自己免疫性肝疾患などがあります。
肝外胆管(肝臓から十二指腸への胆汁の通り道)が8mm以上(胆嚢摘出後は11mm)に拡張した状態です。
胆管結石や腫瘍が疑われる場合には精密検査が必要です。
胆管内にガス像を認める状態です。
膵胆道の手術の既往のある時や特殊な細菌感染による胆管炎の際に見られます。
肝外胆管(肝臓から十二指腸への胆汁の通り道)にある結石のことです。
膵臓炎や黄疸の原因となります。
肝外胆管(肝臓から十二指腸への胆汁の通り道)にできた腫瘍であり黄疸をきたすことがあります。
胆管の壁が厚くなった状態であり炎症や腫瘍が疑われます。
濃縮胆汁や感染に伴う炎症性産生物のことです。
胆嚢内に形成された結石のことで胆嚢炎や胆管炎の原因となります。
胆嚢壁の肥厚を伴う場合や結石の後方の胆嚢壁が十分に観察できない場合には悪性腫瘍との鑑別が
必要な場合があります。
胆嚢には良性の腫瘍(多くは胆嚢ポリープ)だけでなく、胆嚢がんなどの悪性の腫瘍ができることもあります。
腹部超音波検査のみでは、確定診断ができないことが多い所見です。
腫瘍の可能性の低い結節像(炎症後の瘢痕など)をいいます。
胆嚢の壁が全体あるいは限局的に肥厚する良性疾患です。
人間ドック受診者の1%前後に認められといわれています。
胆嚢が腫れた状態です。
一番多い原因は胆嚢の炎症ですが、胆管結石や腫瘍などにより胆汁の流れが滞った場合にもみられることがあります。
胆嚢の内側にできる隆起です。
人間ドック受診者の10%程度に見られると言われています。
10mm未満でかつ良性であることを示す所見が認められる場合は問題ありません。
胆嚢の壁が全体的(びまん性)に厚みを増しています。
その原因に慢性的な胆嚢の炎症などが考えられます。
胆のう壁に彗星のように尾をひく“コメットサイン”を呈する場合をいいます。
多くは、胆のう壁の中にうまった胆石(壁内結石)です。
通常、この胆石は動かず痛みもなく心配ありません。
膵臓が萎縮している状態です。
慢性膵炎で膵臓が委縮している場合には膵液を作る働きも低下していることがあります。
なかには病気ではなく、もともと膵臓が小さい方もいます。
消化液である膵液は膵臓で作られ、膵管を通って十二指腸に流れます。
この流れが妨げられると上流側の膵管が太くなります。
原因として膵石や腫瘍が考えられます。
膵臓の腫瘍には良性から悪性まで色々な種類の腫瘍があります。
ごく初期には自覚症状に乏しいため悪性の特徴を捉えることが難しく、大きくなると周囲の血管などにも影響が出ます。
腫瘍の可能性の低い結節像(炎症後の瘢痕など)をいいます。
膵管や膵実質内に認められる結石のことです。
慢性膵炎に認められることが多く、大きくなると石により膵液の流れが妨げられる場合もあります。
液体の入った袋状の病変です。
膵液が溜まっている場合や液体を産生する腫瘍ができている場合などがあります。
5mm以上の嚢胞や複雑な形の嚢胞は経過観察や精密検査が必要になる場合があります。
嚢胞の中にしこりがある場合や嚢胞の壁が分厚い場合には、嚢胞性腫瘍と記載しています。
膵管内乳頭粘液性腫瘍、漿液性嚢胞線腫、粘液性嚢胞腫瘍などが考えられます。
膵臓の大きさや形は人により様々で、腫瘍などができていなくても部分的に大きくなっていることがあります。
内部に異常がなければ多くが心配はありません。
膵臓が膨れて厚みが厚くなっていることです。
膵炎などの炎症や腫瘍の可能性が考えられます。
病気ではなく、もともと膵臓が大きい方もおられます。
腎臓の大きさが両側ともに8cm未満のときは腎萎縮と記載します。
糖尿病の場合を除いて、一般的に慢性腎不全になると腎臓は萎縮して小さくなります。
様々な原因で尿の流れが妨げられ、腎臓の中に尿がたまった状態です。
中等度から高度の場合は、結石や腫瘍が原因である可能性があります。
腎臓に発生する最も頻度の高い良性腫瘍です。
腫瘍組織は血管・筋・脂肪から構成されます。
腎臓にできた結石です。
10㎜以上の結石は定期的な(6~12か月毎)経過観察が勧められています。
腰痛や腹痛などの症状がある場合には、医療機関を受診して下さい。
腎臓の腫瘍には良性腫瘍から悪性腫瘍まで色々な腫瘍があります。
悪性腫瘍の代表的なものは腎細胞癌 です。
腫瘍の可能性の低い結節像を腎臓に認めます。
良性か悪性かの鑑別が必要な場合があります。
腎実質にカルシウムが沈着した状態です。
炎症性など様々な原因で石灰化がみられます。
液体が貯留した袋状の病変です。
単発あるいは多発し、加齢とともに発生頻度が増加します。
嚢胞が大きくなると周辺臓器への圧迫症状や破裂の危険性がある場合や水腎症をきたす場合があります。
腎嚢胞の壁や隔壁が厚い場合や内部に充実成分を認める場合には腎嚢胞性腫瘍と記載します。
悪性病変の可能性も考えられます。
腎嚢胞の内部に隔壁(しきり)や石灰化を伴う場合には、腎嚢胞性腫瘤と記載します。
腎臓は左右に各1個ありますが、左右で大きさが違ったり、左右がつながっている(馬蹄腎)場合などがあります。
腎臓の大きさが両側ともに12cm 以上の場合に腎腫大と記載します。
糖尿病による腎症では、初期に腫大し慢性腎不全になっても萎縮しないことが特徴です。
急性の腎不全や悪性病変で両側腎が腫大することがあります。
腎盂拡張が中等度から高度の場合に水腎症と記載します。
超音波検査で結石や腫瘍が見えなくても、それらが水腎症の原因となっていることがあります。
腎嚢胞が多発した状態で、先天性と後天性があります。
長期透析患者や末期の腎不全患者で高頻度に両側性、多発性の嚢胞がみられます。
腎細胞癌の発生率が極めて高い(正常の10倍以上)ことが知られています。
腎機能のチェックと定期的な経過観察が必要です。
嚢胞内に充実成分(白い塊)を認める時は、出血や腎細胞癌の発生を疑います。
動脈の壁が厚くなり、脂肪が沈着し、弾力性がなくなって硬くなった状態です。
腹部大動脈は心臓が血液を送り出す最も太い血管です。
その壁がもろくなり膨らみ、こぶのように突出したり、風船のようになった状態を大動脈瘤といいます。
原因の多くは高血圧と動脈硬化です。
5cmまでの場合には経過観察、5cm以上になると精密検査や治療が必要になることがあります。
膀胱の一部が膀胱外に突出したものです。
膀胱から尿道口までに何らかの通過障害があって膀胱内の圧力が高まったときに、膀胱壁の一部に圧力に弱い部位があると、その部分が膀胱外に突出して憩室と呼ばれる状態になります。
頻尿、排尿時の疼痛、尿の混濁、残尿感、下腹部違和感など膀胱炎の症状がある場合があります。
脾臓の近くに脾臓と同じ組織像をもつ1~2cm大の腫瘤のことを副脾と呼びます。
病的意義はありません。
副腎は腎臓の頭側についている小さな臓器で、血圧や血糖値を調節するさまざまなホルモンを分泌しています。
副腎組織から発生する腫瘍はほとんどが良性ですが、まれに副腎皮質がんや他の臓器の癌からの転移によって発生する悪性のものもあります。
良性のものでも副腎腫瘍がホルモンを異常に分泌している場合は、高血圧や糖尿病などの症状がでる可能性があります。
腹腔内に貯留した液体を腹水といいます。
性状により滲出性(炎症性腹膜炎、がん性腹膜炎)と漏出性(肝硬変ネフローゼ、蛋白漏出性胃腸症、肝静脈閉塞、心不全、アルドステロン症など)に大別されます。
通常でも生理的に100ml未満の腹水が存在しますが、異常に増加する場合は精密検査が必要な場合があります。
胸腔内に貯留した液体を胸水と呼びます。
性状により滲出性(悪性腫瘍、肺炎、肺塞栓症、ウイルス感染、尿毒症、膠原病など)と漏出性(心不全、肝硬変、低蛋白血症、ネフローゼなど)に大別されます。
通常、胸腔内には生理的に20ml未満の胸水が存在しますが、異常に増加した場合は精密検査が必要です。
リンパ節が腫れて大きくなっている状態です。
超音波で短径7mm以上の場合をリンパ節腫大としていますが10mmまでで扁平な場合には炎症による腫大が多く経過観察をお勧めしています。
それ以外の場合には腫瘍性(悪性リンパ腫、白血病、肉腫、転移性腫瘍など)の疑いがあります。